本記事では、一条工務店のシロアリ対策について考察したいと思います。
一条工務店のシロアリ対策
前回の記事でも紹介したように、一条工務店のシロアリ対策はよく考えられていると思います。1階の全ての木材と断熱材には防蟻処理がなされ、安心できるよう設計です。

(引用元:一条工務店)
私が現場を確認した時にも、しっかりと処理がなされていました。下記の写真で土台の木材が確認できますが、メッシュに複数の穴が開いている木材はシロアリ防蟻処理されたもの、土台の緑色の合板も同様です。

青いペンキのようなものは「コシコートEV」と呼ばれる防蟻処理剤です。

前回の記事では、土壌の防蟻処理剤である「コシペレット」についてもご紹介してますので、ご参考ください。

それでも完璧ではないシロアリ対策
私の場合は布基礎でしたので、理屈的にはどうしても心配になるのが、防湿コンクリートと立ち上がり部の隙間からのシロアリ進入です。コンクリートは性質上、2度打ちの場合は接着することはないため、どうしても微小な隙間が出来てしまいます。


(引用元:日本ボレイト公式ブログ)
この部分からのシロアリ進入を防止するために、一条工務店では打ち継ぎ部の土部分に、下記写真のオレンジ色の防蟻剤「コシペレット」を散布しています。

一方で、これらのシロアリ対策は、よく5年で効果が切れるといった記事を見かけるので、ずっと効果が保証されているものではありません。よって、一条工務店では10年点検の際に、この打ち継ぎ部へシロアリ薬剤の再塗布を実施して、30年保証を実現しています。
下記の記事は古いものになりますが、担当営業に確認したところ、これから建築する建物にも似たような対応がなされるようです。基本的には床下に潜って、防蟻処理剤の散布がなされます。
もし床下に潜りきれないケースがある場合、外部から土壌に防蟻処理をすることもあると説明されました。

(引用元:一条工務店 免振住宅の建築ブログ)

オススメなシロアリ対策商品
そんな中で見つけたのが、白アリスーパー乳剤です。コンクリートには7倍希釈で浸透し、打ち継ぎ部のコンクリートにもどんどん吸い込まれていきます。下記の写真は希釈した後ですが、本当に真っ白です。
希釈タイプのため、コスパは相当良い商品だと思います。

Amazon : シロアリスーパー乳剤 20 4L

さらに2018年にGOOD DESIGN AWARDも取得したボレイトシールという商品もオススメです。ボレイトフィラーという粘土タイプのものもあります。基礎で隙間が発生し気になるところはこちらを塗布することでリスクを低減できます。

(引用元:日本ボレイト株式会社)
Amazon : ボレイトシール

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ベタ基礎でも安全とは言えない
一般論としてはベタ基礎はシロアリに強いので大丈夫、と言われますが本当にそうでしょうか?筆者も色々と調べていくと、必ずしもそうではないことが分かりました。
例えば2度打ち工法の場合、ベースコンクリートと立ち上げコンクリートの間には必ず微小な隙間があるので、下記の図のように進入を許してしまうこともあります。シロアリは0.6mmの隙間があれば進入してくると言われています。
いくら防蟻処理をしている木材を使っている場合でも、虫が入ってくるだけで気持ちが悪いので、バリアをしておくに越したことはありません。

(引用元:シロアリ1番)
それ以外にもあらゆる可能性を考慮する必要があり、油断は大敵です。

(引用元:シロアリ110番)
統計データ的に本当に強い基礎はどれか?ベタ基礎 vs 布基礎
色々調べていくと、興味深いレポートが国土交通省の補助事業として発行されていました。基礎の構造というよりも、いかに防蟻処理をオーナーが実施しているかが最も重要であることが分かります。
グラフのA区分は「防蟻保証切れで、再施工せず、一定期間経過した物件」、B区分は「防蟻処理保証期間内の物件」によるシロアリ被害の発生率です。


下記は築年数別のシロアリ被害の発生率のデータです。確かにベタ基礎が最も発生率が低いですが、B区分(防蟻保証期間内の物件)同士で比較すると布基礎+シートとそこまで大きな差が無いことが分かります。

非常に不思議だったのが、布基礎+土間コンクリートの方が、布基礎+防湿シートよりもシロアリ被害の発生率が高いことです。
コンクリートに覆われているのになぜ?と思いましたが、上述したような打ち継ぎ部に隙間が発生してしまうことも影響しているでしょうし、土壌の方が薬剤が浸透しやすく、再処理による効果が高いことが示唆されているようです。
一条工務店のように、布基礎+防湿シート+土間コンクリートの場合はデータが無いのですが、同様の傾向にあるかもしれません。

(引用元:国土交通省補助事業 シロアリ被害実態調査報告書)
まとめ
本記事では、一条工務店のシロアリ対策と、布基礎 vs ベタ基礎の視点でもまとめてみました。
総括して言えることとしては、構造的な要素も重要ですが、どちらかというと防蟻処理をきちんと継続的に行っているかどうかが統計データ的にも最もシロアリ被害の発生率に影響していることが分かりました。
ベタ基礎だからと何もせず放置すると被害に合う可能性は布基礎よりも高くなるということです。筆者も一条工務店の希少な布基礎を採用してしまったのですが、今回の検証を踏まえて、しっかりと家のメンテナンスを実施していきたいと思います。
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